馬の毛色は何種類?代表的な毛色と見分け方

顔を寄せ合う2頭の馬

競馬や乗馬で馬を見ていると、同じ茶色に見えても「鹿毛」「栗毛」など、異なる毛色名で紹介されていることがあります。黒っぽい馬や白く見える馬も、登録上はさらに細かく分けられます。毛色の基本を知ると、写真や映像を見るときにも一頭ごとの違いに気づきやすくなります。

ただし、毛色の分類は世界共通で一つに決まっているわけではありません。日常の呼び方、競馬の登録、品種団体などで基準が異なります。この記事では、日本の競馬で一般に使われる毛色名を中心に、初心者にも分かりやすい見分け方を紹介します。

馬の毛色は何種類ある?

「馬の毛色は全部で何種類」と答えるには、どの分類を使うかを決める必要があります。JRAが紹介するサラブレッドの登録毛色は、栗毛、栃栗毛、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛、白毛の8種類です。一方、日本馬事協会の馬全般の記載要領では、粕毛、駁毛、月毛、河原毛などを含む14種類が示されています。海外や品種団体では、さらに異なる名称や区分が使われることもあります。

毛色は、体を覆う短い毛だけでなく、前髪、たてがみ、尾などの「長毛」、脚の下部、鼻先や目の周りなどを合わせて見ます。よく似た色の境界は写真だけでは判断しにくいため、公式の登録情報を確認するのが確実です。

また、同じ毛色の馬は数多くいます。個体を見分けるときは、顔や脚の白斑、つむじ、体格など、複数の特徴を組み合わせます。毛色だけで一頭を確実に識別できるわけではありません。

鹿毛

鹿毛(かげ)は、明るい赤褐色から暗い赤褐色までの体に、黒いたてがみ、尾、脚の下部が組み合わさる毛色です。日本の競馬や乗馬でよく目にする代表的な毛色の一つです。

初心者が栗毛と見分けるときは、まず長毛と脚先を観察します。鹿毛ではこれらが黒くなるのに対し、栗毛では基本的に黒くなりません。ただし、夏毛と冬毛、日差し、写真の明るさによって体の茶色はかなり違って見えます。

黒鹿毛

黒鹿毛(くろかげ)は、鹿毛より黒みが強い赤褐色です。全体がかなり黒く見える馬でも、目や鼻の周り、脇、下腹、内ももなどに褐色が残り、たてがみ、尾、脚の下部は黒く見えます。

暗い場所では青鹿毛や青毛のように見えることがあります。体全体の印象だけで決めず、褐色が現れやすい部分と登録情報を確認することが大切です。

青鹿毛

青鹿毛(あおかげ)は、全身がほとんど黒く、目や鼻の周り、脇などにわずかな褐色が見られる毛色です。名前に「青」とありますが、青色の毛という意味ではありません。黒みの強い色合いを表す日本の伝統的な呼び方です。

黒鹿毛よりさらに暗く見えますが、褐色部分の範囲や濃さには個体差があります。写真の露出や照明によって褐色が見えなくなることもあり、青毛との区別は初心者には難しい場合があります。

青毛

日常会話では、全身が黒く見える馬を「黒毛の馬」と表すことがあります。しかし、日本のサラブレッド登録で使われる正式な毛色名は「青毛(あおげ)」です。青毛は、体の被毛と、たてがみや尾などの長毛がともに黒い毛色を指します。

青毛でも、季節や日光による毛先の退色で茶色がかって見えることがあります。そのため、目や鼻の周りを観察して、わずかに褐色がある青鹿毛や黒鹿毛と見分けます。見た目だけで確定できないときは、登録上の毛色を確認しましょう。

栗毛

栗毛(くりげ)は、体が黄褐色から赤褐色で、たてがみと尾も体色に近い色、または体より明るい色に見える毛色です。鹿毛との大きな違いは、たてがみ、尾、脚の下部が黒くならないことです。

栗毛といっても、明るい金色に近い馬から深い赤褐色の馬まで幅があります。光の当たり方で赤みや明るさが変わって見えるため、体の色だけでなく長毛と脚先を合わせて観察します。

栃栗毛

栃栗毛(とちくりげ)は、栗毛より黒みの強い黄褐色から濃い赤褐色に見える毛色です。濃い個体は黒鹿毛のように見えることがありますが、栗毛と同じく長毛や脚の下部が鹿毛系のような黒色にはなりません。

栗毛と栃栗毛の境界は、写真や一度の観察だけでは判断しにくいことがあります。撮影条件や季節の毛による印象も変わるため、厳密な毛色名を知りたいときは競走馬情報や血統登録などの公式情報を確認します。

芦毛

芦毛(あしげ)は、栗毛や鹿毛、青毛などの元の毛色に白い毛が混ざり、年齢とともに白い毛の割合が増えていく毛色です。生まれたときから白いとは限らず、若い時期には灰色や黒っぽく見え、すぐに芦毛と判断しにくいこともあります。

白くなる速さや残る色合いには個体差があります。年齢を重ねてほぼ白く見える芦毛でも、白毛とは成り立ちが異なります。芦毛の変化を年齢との関係から知りたい方は、「馬の年齢は人間でいうと何歳?成長とライフステージを解説」も参考にしてください。

白毛

白毛(しろげ)は、生まれたときから全身に白い毛が多く見られる、非常に少ない毛色です。芦毛のように、元の濃い毛色へ加齢とともに白い毛が増えるものとは区別されます。皮膚の色などにも違いがありますが、写真では細部を確認できない場合があります。

「白く見える馬はすべて白毛」ではありません。年齢を重ねた芦毛も全身が白く見えるため、幼いころの毛色や登録情報を確認する必要があります。

尾花栗毛とは?

尾花栗毛(おばなくりげ)は、栗毛の中でも、前髪、たてがみ、尾が白色や淡い色に見える馬を表す呼び方です。尾がススキの穂、つまり「尾花」のように見えることが名前の由来です。

JRAの用語辞典にも知られた呼称として掲載されていますが、サラブレッドの登録上で独立した9番目の毛色になるわけではなく、基本の登録毛色は栗毛です。尾花栗毛は、栗毛の見た目の特徴をより具体的に表す呼び方と理解すると分かりやすいでしょう。

毛色を見分けるポイント

最初から色名を決めようとせず、見る場所を順番に確認すると違いを整理しやすくなります。

確認する場所 見分けるポイント 注意点
体全体 赤み、黒み、白毛の混ざり方 光や季節で明るさが変わる
たてがみ・尾 黒いか、体色に近いか、淡いか 鹿毛系と栗毛系の手がかりになる
脚の下部 黒いか、体色に近いか 白斑がある部分は別に見る
目・鼻・脇・腹 褐色が残っているか 暗い毛色同士を比べる手がかり
白い毛 年齢とともに増えているか 芦毛と白毛を区別する材料
登録情報 正式に記録された毛色名 見た目だけで難しいときに確認

一枚の写真だけで迷う場合は、違う季節や明るさの写真も見比べます。毛色は性格や能力、価値を示すものではなく、あくまで外見上の特徴の一つです。

毛色以外の見分け方

個体識別では、毛色に加えて顔や脚の白斑を見ます。額から鼻にかけての白い模様は形や大きさが一頭ずつ異なり、脚の白い部分も、どの脚のどの高さまであるかが手がかりになります。

つむじの位置や形、体格、顔つき、傷跡なども識別材料です。成長やけがで見え方が変わる特徴もあるため、一つだけに頼らず複数を組み合わせます。馬の体の特徴や習性については、「馬はどんな動物?初心者が最初に知っておきたい馬の基礎知識」も参考にしてください。

毛色は季節や年齢で変わって見える

馬は季節に合わせて毛が生え替わります。短くつやのある夏毛と、長く厚い冬毛では、同じ馬でも明るさや色の深さが違って見えます。換毛期には古い毛と新しい毛が混ざり、部分ごとに色むらがあるように見えることもあります。

強い日差しによる毛先の退色、汗や雨で濡れた状態、屋内照明、カメラの色調も印象を変えます。これらは多くの場合、登録上の毛色そのものが別の種類へ変わったという意味ではありません。芦毛は例外的に加齢とともに白い毛の割合が増えますが、その変化も芦毛という分類の中で起こります。

この記事のまとめ

  • 馬の毛色の種類数は分類基準によって異なり、サラブレッドの登録毛色は8種類です。
  • 鹿毛系と栗毛系は、たてがみ、尾、脚の下部の色が大きな手がかりになります。
  • 黒く見える馬は黒鹿毛、青鹿毛、青毛などに分かれ、写真だけでは判断しにくい場合があります。
  • 芦毛は年齢とともに白い毛が増える毛色で、生まれたときから白い毛が多い白毛とは異なります。
  • 尾花栗毛は栗毛の長毛が白色・淡色に見える呼び方で、独立した登録毛色ではありません。
  • 個体を見分けるときは、毛色だけでなく白斑、つむじ、体格、登録情報も確認します。

毛色を知ると、馬を観察する楽しみが広がります。ただし、見た目だけで判断せず、登録情報や顔・脚の模様など、複数の特徴を合わせて確認することが大切です。

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